小学校支援員ねずママ子ども成長応援日記♪

現役特別教育支援員の小学校通常級での支援記録です。

東大事件について思うこと。

とある小学校の通常級で発達凸凹支援員をやってます。

日々の支援の中で感じたこと、考えたことをつれづれに綴っています。

 

先日、大学入試センター試験で痛ましい事件が起きました。

「人を巻き添えにするなんて、なんて自分勝手だ」

「許せない、少年だが厳しい刑罰を」など、加害少年が吊し上げになっている状況があちこちで見られます。

少なくとも関わり合いもない人が、加害者の誹謗中傷を発信するのはいかがなものかと思います。

とはいえどんな事情があったにせよ、無差別殺人を計画し、実行に移したわけですから到底許されるものではありません。

何の落ち度もない被害者の方の人生が狂わされることのないよう、

そして、この少年がきちんと自分の犯した罪と向き合い、被害者への償いを経て再び、本来の自分らしい人生が歩めることを願ってやみません。

 

私はあくまで支援員の目線で今回考えたことを書き記そうと思います。

 

記事によると、有名私立進学校から医師を目指していた少年。

恐らく幼い頃から知能も高く、恵まれた教育環境で育ってきたと予想されます。

まだまだ分からないことばかりですが、一部報道では「成績が落ちて自信を失った」と供述しているそうです。

もしもそれが本当ならば、成績だけが彼のアイデンティティを確立する唯一の価値だったのでしょう。

成績が落ちたことで彼は人生に絶望した。

ではなぜ、赤の他人へ刃を向けたのか。

 

子供支援をしている中で経験したことがあります。

怒りや絶望を自分に向け、自分を責めて大泣きしたり、自分の頭を何かにぶつけたりして自分を傷つけるタイプ。

その逆で、他人や物に向けて暴力や暴言を放つタイプ。

外に向くというのは、自分の弱さが受け止めきれない、自己理解が正しくできていない、他人に勝てる自信があるとも言えるのかもしれません。

 

ベクトルがどちらに向くかは、幼い頃からパターン的な行動が出ていることが多いように思います。

今回の加害者がどんな育ちをしてきたのか、自分の思い通りにならない時にどんな行動パターンだったのかなと思います。

 

自信をなくし孤独を深めてしまった彼に、誰かその気持ちを聴いて、手を差し伸べられなかったのか。

少し前に同級生を視察した中学3年の受験生の事件もありましたが、

日本社会は核家族化が進み、昔のように地域の大勢の大人や子供が育ち合う社会ではなくなり、社会性が乏しい子供たちが増えたにも関わらず、

未だに社会も学校も、昔ながらの階級意識、高学歴志向が抜けきらず、そこへ子供たちを追い立てているように思います。

特に学力の高い子は、人に優しく出来なかったり、片付けか出来なかったり生活スキルが多少足りなくても、大人が許してしまい、学ばないままに年齢が進んでしまうケースがあるのだそうです。

だから勉強の成績だけで価値を測ってしまうという極端な思考になってしまうのかもしれません。

 

今回の加害者も、幼い頃から自分や他人を大切に思う心の豊かさを学びそびれてしまった可能性もあるし、コロナ禍で対人コミュニケーションが寸断されて孤独を深めたのかもしれません。

私には本人ばかりに責任があるとは到底思えないのです。

 

どうか彼の周りの人々が、今回の事実から決して目を逸らさず、本気で彼と真正面から向き合って原因と更生、必要ならば療育を考えてもらえるよう願ってやみません。

 

最後に、今から受験を迎える子たちへ。

 

受験は人生のほんのわずかな一部です。

失敗したって、人生が終わる訳じゃない。不幸になる訳でもない。

 

自分次第で沢山の道が拓けています。

失敗をバネに巻き返している人も、世の中には山ほどいます。

一度深呼吸して、周りを見渡してみてください。

そして、話せる人を見つけて想いを打ち明けて見てください。助けを求めてください。

締め付けてくる人、束縛する人、嫌な人からは全力で逃げるんです。

 

思ってるより、世間はずっと自由で緩やかなはずですから。

 

本能のままに、あるがままに。