チャンスも支援も神様は前髪だけ。
とある小学校の通常級で発達凸凹支援員をやってます。
日々の支援の中で感じたこと、考えたことや伝えたいことをつれづれに綴っています。
ここのところ、小6の次男の登校しぶりが続いていました。
日頃からポツポツと話す言葉を拾っていると、具体的に嫌な相手がいるとかではなく、クラスでぼっちになっていることや、ざわつきのある空気が過敏な息子には息苦しいのだと思っていました。
空気なのだから誰も責められないし、先生に訴えてもどうしようもないと半ば諦めていたように思います。
ある日、学校から帰ってすぐにゴロゴロしながら「学校が嫌だ、もう行きたくないな」と呟いていた息子に、私も自分の用事を止めて横に座りました。
ネガティブなことを言っているけど、息子の表情は比較的穏やかでした。
「そっか、行きたくないか」とだけ言ってあとは少し黙っていました。
何か考えていたので「教室が嫌なの?」と聞くと、「一日中縛り付けられているのが嫌だ」と言いました。
それは以前も言っていたので、息子にとってはやっぱり心地よくない空間なんだなと改めて思いましたが、その時は何となくもっと突っ込んで聞いてみたくなりました。
雰囲気を作っているのはそこにいる「人」です。
私は息子のクラスの名簿を見ながら、今の席の周りに誰がいるのかを確認していきました。
すると意外なことに、これまで一切言わなかった女子たちの話が出てきたのです。
私が「この子は?」と順に聞いていくと、
「この子はしっかり者でみんなのお世話しているよ」とか
「この子はアネゴって言われて他のクラスからも友達が来る」とか
驚くほどにそれぞれの子の特徴を話しだしたのです。
今の席では、元気な女子たちがすぐ後ろにいて、いつも盛り上がっている。
そして何人かの男子もそれに引き込まれて楽しそうにしている、と話しはじめました。
「その時どう思った?」と聞くと、実はそこに入りたかったけど、突然入って場がシラけるのが怖かったと言いました。
これまで息子は人と関わりたくないんだと思い込んでいた私は、とてもびっくりしました。
まさか入りたいと思っていたなんて。
よくよく話を聞いてみると、小さい頃友達から無視された経験があって、人から嫌われるのが怖い、好かれたいわけじゃないけど、シーソーみたいにバランスがとれた関係を持ちたいということを話してくれました。
あぁ、私は今まで息子の気持ちが聴けていなかったなぁと初めて気付きました。
恐らくこれもほんの一面でしかなかったかもしれませんが、少なくとも少し深い所に触れた感覚がしました。
おそらくこのタイミングを逃したら、息子の気持ちは聴けずじまいだったかもしれません。
今回は息子が出していたサインを感じ取り、受け取る体勢が私にあったからこそ、息子も落ち着いて本音をこぼしてくれたのかなと思います。
支援の中でも、自分が時間を気にしたり、周りを気にしたりする状況では、子供は敏感にそれを察知して、本音を覆い隠す言葉しか語ってくれないんだと思い知らされました。
チャンスの神様のみならず、支援の神様も前髪しか生えていないのです。
前髪を逃せば、けっして捕まえられない。
誤って表面的な言葉、つまりカツラを掴んでも、スルリと逃げられてしまいます。笑。
翌日から息子は少しスッキリしたのか、何事もなく学校へ行きました😊
自分にも当てはまりますが、言葉を溜めすぎてはいけない、言葉を飲み込むクセをつけてはいけないなとつくづく思います。
不安や恐怖、怯え、攻撃などのネガティブな気持ちも適切な言葉を選んで外に解放していくこと、人に受け取ってもらうことが何より大切だと思います。
それを徐々に学んでいくのが家庭であり、学校。
それを教えるのが親であり、先生や周りの大人です。
そして同時に大切なのが、言葉を出す勇気を察知して、受け取る側のタイミング、環境、体勢。
すべてがマッチしてこそ、深いところでの気持ちの交換ができる関係性になれるのだと。
日々忙しさに追い立てられている自分も含めた大人たちへ。
子供の対応に困っているとしたら、それは自分のスピードが子供と合っていないかもしれません。
スピードを少し緩めて、子供の歩幅に合わせて歩いてあげると、子供たちの心がパカっと開くかもしれません。
大人が思っているよりもはるかに、たくさん感じたり考えたりしていることがわかるはずです。
明日も支援はつづく…